ベトナムの不動産投資に関連するベトナム法の紹介

ベトナムの不動産投資に関連するベトナム法の紹介 ベトナム不動産情報

海外の不動産投資のリスクの一つとして、現地の法律を知らずに不利な条件で購入してしまうことや、名義が取得できないといったものがあります。そのようなリスクを減らすためには、不動産関連の法律をある程度知っておく必要があるのではないでしょうか。

日本では民法や借地借家法、建築基準法、宅地建物取引業法などがありますが、ベトナムにはどのような法律があるでしょうか。不動産投資に関連する主要な法律とその内容をご紹介します。

住宅法

外国人によるベトナムでの不動産投資は2015年に解禁され、以来人気が高い投資先となっておりますが、その根拠となる法律が2017年7月住宅法(番号65/2014/QH13)という法律です。

本法律の第2章第7条(Chương II, Điều 7)にベトナムに於いて住宅を所有することができる対象者について下記の通り規定されています。

  • 内国組織、世帯、個人
  • 外国在住ベトナム人
  • 本法律159条第1項に規定される外国組織、個人

第9章が外国人(人、組織)による住宅所有権が規定されており、159条~162条まで全4条があります。

159条及び160条には住宅を所有することのできる個人、組織の条件として「ベトナムへ入国のできる個人で外交特権を有さないもの」という規定があります。この規定が、外国人による不動産購入が可能となった根拠です。なお、法人の場合はベトナム国内での活動を許可する「投資証明書」を持つ法人となっています。なお、入国のできる外国人、の詳細については規定されていません。

なお、159条第2項には所有形式の規定があり、建築投資(不動産開発)及び、住宅建築投資プロジェクトの集合住宅及び個別住宅の購入、相続などが規定されています。

住宅建築投資プロジェクトの物件でなければ購入ができないということになります。

161条に外国人による住宅所有の権利が定められています。基本的にはベトナム人と同等の権利を有する事になっておりますが、いくつかの例外が規定されています。特に注意すべきものとしては、共同住宅の建物内の30%までしか外国人による保有が認められていないということです。例えば、すでに30%の物件が外国人により保有されている建物において、ベトナム人名義の物件を購入したとしても、外国人の名義に変更することはできません。これは購入だけではなく、相続等による取得の場合も同様となります。

また、物件の保有期間は証明書の発給より50年と規定されています。政府の規定に従い期限を延長することができる、と書かれていますが、その「政府の規定」については本法律内には規定されていません。

161条の最後には、住宅の所有期限を経過後所有者が売却や贈与しない場合は、国有となると書かれており、証明書の期間には十分注意を払う必要があるということがわかります。

162条には外国人所有者の義務について書かれています。ベトナム人を含む、全不動産所有者の義務は第11条に書かれていますが、それに追加していくつかの義務があります。

重要なポイントとしては、個人所有車は賃貸を行うことができるが、賃貸を行う前に行政に通知を行い、納税を行うというところでしょうか。また、法人が所有する場合は、従業員の居住目的のみに物件を使用することができ、事務所や賃貸目的は禁止されています。

住宅法のガイドライン

本住宅法のガイドラインとして政令(番号 99/2015/ND-CP)が2015年12月に公布されました。この政令の第7章(74条~79条)が外国人によるベトナム物件所有について規定しています。

先ほどの住宅法では「ベトナムに入国できる個人」と書かれていたのが政令74条では「ベトナムの入国印が押された、有効期限内のパスポートを所持している者」と具体的に規定されました。

また、77条には保有期間についての細則があり、所有期限満了3ヶ月前に人民委員会に申請を行い、1回50年の延長を認めるとなっています。また、延長を行った場合、最初の期限の時点で購入条件を満たしている必要があります。

また、第7条には外国人、ベトナム人問わず所有期間についての規定がありますが、外国人から外国人に物件が売却・贈与された場合は証明書の期間は引き継がれるとされています。ですので、中古物件を購入する場合の保有期間は50年間より短くなることとなります。

不動産事業法

不動産の取引については、住宅法と同日に施行された不動産事業法(番号66/2014/QH13)が関わってきます。不動産事業として利益を得る目的での不動産建設、購入、売却や賃貸、仲介、取引、管理に関わることが挙げられています。

11条第3項では外国投資企業による不動産事業の範囲が定められており、サブリース(転貸)や住宅建設投資が認められています。これは2015年以前には認められておらず、外国企業による事業範囲が広がりました。これらの「不動産事業(ライセンス6810)」を行う場合は最低資本金が200億ベトナムドン(約1億円)必要となっています。(実際の規定はガイドライン第3条)

それに対して「不動産サービス業(ライセンス6820)」で認められている不動産仲介や管理については第2節62条以降に規定されており、不動産事業とは区別されています。

不動産仲介業を行うためには不動産仲介営業証明書(個人資格)を有するものが2名以上いなければならないとされています。

不動産事業法は主に不動産事業を行う法人向けの法律であり、個人手不動産投資を行う場合はあまり意識しなくても良い法律ですが、法人で大規模に行う場合や、または仲介を行う不動産事業者がどのような法律のもとで業務を行っているのかを知るという意味では、無視できない法律です。

不動産事業法のガイドライン

なお、この不動産事業法にもガイドラインとして政令(番号76/2015/NĐ-CP)があります。こちらのガイドラインは内容としては多くはありませんが、個人投資家にとっても重要な事項である、住宅の購入や賃貸にかかる規定が記載されています。手続きに必要な文章や、契約時に盛り込むべき内容、標準契約書などがガイドラインの中で明示されているため、手続きを行う際に参考にすると良いでしょう。

まとめ

ベトナムも日本と同じ法治国家であり、不動産投資に係る手続きや規定も基本的には法律に基づいて行われます。ベトナムは法律の整備が遅れているとの指摘もありましたが、2015年改正法、及びそのガイドラインとなる政令によりかなり明確になったと言えるのではないかと感じています。

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