ベトナム不動産投資における外国人規制緩和の歴史と現在知っておくべきこと

ベトナム不動産情報

外国人による不動産購入が解禁されたベトナムですが、すべての物件を自由に購入しても良いと言うわけではありません。
この記事では、不動産投資を検討するにあたって知っておきたい、不動産投資を外国人が行う場合の規制について紹介します。

ベトナムでは外国人でも不動産物件が購入可能

まず結論から申し上げますと、ベトナムでは外国人による不動産の購入が可能です。
正確には、2015年7月の法律改正による可能となりました。
それ以前は個人で居住する目的の不動産のみ購入可能だったのですが、現在は目的に関わらず不動産の購入が可能です。

ただ、日本のように外国人がどの物件でも自由に購入可能というわけではなく、購入可能な物件と購入不可能な物件の両方が存在しています。

特に、一度ベトナム人がオーナーとなった中古物件の売買の場合はその物件が外国人による登記が可能かどうかが非常にわかりづらく、トラブルが発生する可能性も指摘されています。
ベトナムの不動産はプレビルドの段階に売り出しが行われるため、物件が完成するまでの間に何度も売買が行われることは少なくありません。リスクをコントロールするために建設の進捗状況に合わせて投資を行っていきたいと考える場合は、そのような名義変更における手続きの可否を事前に必ず確認することをおすすめします。

万が一、本来は外国人が購入不可能な物件を購入してしまうと、登記簿の名義を変更する際に受理されずに名義が変更できないという事態となります。建物所有権利書(通称:ピンクブック)が外国人の名前で発行されないことには、所有権を主張することはできません。

そのような購入後のトラブルを避けるためにも、デベロッパーや仲介会社に対して外国人購入可能な物件であることを購入前に確認することや、信頼できる会社から購入することがベトナムの不動産投資においてはとても重要になります。

それでは、どのような物件であれば外国人が購入可能なのかご紹介していきます。

外国人が購入不可能な物件

まずベトナムのほとんどの土地や建物は外国人による購入が認められていません。
先ほど「ベトナムでは外国人による不動産投資が可能」と紹介したことと矛盾するかも知れませんが、重要なところですので読み進めていただければと思います。
外国人による不動産購入は後述する「許可されたプロジェクト」において可能となっています。

例えばホーチミンの日本人街であるレタントン通りに点在する一軒家など、デベロッパーによる開発ではない一軒家は外国人の購入ができません。
ベトナムでは土地の価格がここ数年で一気に上昇しておりますが、残念ながら一般の土地を購入してキャピタルゲインを狙うという投資手法を、外国人である日本人が行うことはできなくなっています。
一旦デベロッパーがその土地を全て購入し、その上で行われる開発プロジェクトのみ購入可能ということとなります。

それでは、購入可能な不動産について見ていきましょう。

外国人が購入可能な物件

外国人が購入可能な不動産物件はデベロッパーによる住宅建築プロジェクトにおいて新規開発されたコンドミニアムやヴィラなどに限定されます。

全てのコンドミニアムが外国人による購入が可能というわけでもなく、各プロジェクトごとに政府による販売許可を取得しているかどうかというところがポイントとなってきます。
ベトナムでは数多くの不動産開発が行われており、富裕層や外国人駐在人の居住を見込んだ最高級コンドミニアムから、現地中流層に向けた中級アパートメント、そして低所得者でもこ物件購入を可能とすることを目的とした物件など様々な物件が存在します。
ベトナムの不動産価格を眺めていると正直「この立地でこの値段なら購入を検討したい」というB~C級アパートメントを見つけることもあるのですが、外国人による購入が許可されていないものも多くあるため注意が必要です。

なお、全てのプロジェクトにおいて外国人による購入の許可がある場合でも、
外国人による購入できる物件は総販売の30%と決まっています。
そのため、同じコンドミニアムでも、外国人による登記が可能なユニットと、外国人による登記が不可能なユニットが混在することとなります。
外国人が購入可能な物件数が限られているため、外国人向け価格とベトナム人向け価格一つのコンドミニアムの中に2つの市場が存在するということも十分可能性としてありえます。
だからといってベトナムの不動産投資が魅力的ではないかというと、日本の高度経済成長を思い起こすような力強い成長力があることは事実であり、リスクを上回る大きなチャンスがあると考えています。

信頼できるデベロッパーが大きく街区を開発し、新しく人口を増やすという形での街づくりがベトナムのいたる所で行われており、道路や鉄道もそのプロジェクトに合わせて作られていくことになります。
今は人口も少なく、交通の便も良くない郊外の立地だとしても、そこに商業施設、学校、病院、鉄道、道路を一体的に整備をすることで人口を増やすという開発という、不動産の価値が高まる可能性が非常に高いプロジェクトに集中して投資を行うことが可能だということです。

ベトナムにおける土地の使用権

社会主義国であるベトナムでは土地はすべて政府の所有物とされており、ベトナム人であってもその土地の使用権を持っているに過ぎません。
ですので、ベトナムでは土地を保有することは不可能ということになっています。

現在の法律下では、外国人がベトナムの土地の使用権を保有できるのは最長50年間であり、1回のみ延長が可能とされております。

ですので、延長も含めれば100年間に渡って土地使用権を保有することができます。
もちろん、売買や相続などにより名義が変更となればその土地使用権は新しい使用車により最長100年間使用することができますので、現在の制度においては土地の使用権は適切な手続きを行っていれば問題になることは少ないかと思います。なお、土地使用権証書は通称レッドブックと呼ばれており、登記を証明する重要な書類となります。

経済が発展し続け、インフラ投資の数も多いベトナムでは都市計画等による立ち退き等も多く行われております。
しかし、外国人が購入可能な不動産開発プロジェジェクトは都市計画との整合性が取れたものであり、立ち退きが要請されるという可能性もとても低いものと考えています。

確かに、ベトナムでは土地は政府の所有物とされており、ベトナム人を含む個人及び法人が土地を所有することはできません。
しかし、その制度を理解し、適切な許可、申請が行われている限りにおいては、投資のリスクとして大きく考える必要はないと考えています。

ベトナムでは名義貸しは違法なので要注意

一部、名義貸しによる不動産投資が行われているという話を聞いたこともあります。
ベトナムにおけるビジネス進出の形態として検討している、または実施しているという話をベトナム進出者から聞くこともあるかもしれませんが、まず大前提としてベトナムでは名義貸しは認められておらず、違法となっています。

違法ということで直ちに逮捕・罰則となることはあまりないかも知れませんが、トラブルが発生した場合は間違いなくその名義人による主張が通ることが考えられます。
そもそも名義貸し事態が違法であるため、実際に登記されている名義人の所有物となるからです。

「名義貸しによりビジネスを行っているけど全く問題ない」
「ベトナムではベトナム人名義にしておいたほうが何かと楽」

そういう声をベトナム在住者から聞くこともあるかも知れません。

しかし、ベトナムにおいては名義貸しという契約形態は認められておりませんので、多大なリスクがあることは間違いありません。
不動産投資は5年、10年、20年と言うスパンでリターンを追い求めていくものですが、その期間の間ずっとリスクを抱え、万が一ベトナムの法律が改正され名義貸しへの罰則がより重くなることなどを考えると、名義貸しによりベトナム不動産投資を行うことは到底考えられません。
この記事で前述したとおり、ベトナム人により登記された物件を外国人の名義に変更することも非常に難しく、名義を借りて購入することはその名義人に対する贈与としかならないでしょう。

幸いなことに、現在は名義借りを行うことなしに不動産投資を行うことができます。
不動産会社名義や他の名義人ではなく、あなたの名前で不動産を登記することができますので、名義人を別にするということなく自らの名義で登記を行うようにしましょう。

参考:2015年7月以前の厳しい規制内容

2015年7月に関連法規が改正される以前は、原則としてベトナムにおいて外国人が不動産を購入うすることは非常に難しかったです。
ですので、今も一部では当時の情報が残っており、ベトナムでの不動産投資が難しいと考えている方も多いかも知れません。
参考までに2015年に改正される前の外国人による不動産投資の条件をここに掲載致します。
もし、こちらの情報をもとに不動産購入を断念しているのであれば、それは古い情報であり現在は規制が変わっているとご認識いただければと思います。

  • 購入可能なのは、ベトナム人と結婚している外国人またはベトナムに居住許可を持ち、居住している外国人に限られます。
  • また、自らの居住用としての購入のみが可能であり、賃借用としての購入は認められません。

これが、2015年の法改正以前の不動産購入規制です。
この規制があったからこそ、ベトナムは不動産投資先として魅力的な市場ではありませんでした。
しかし、この記事でご説明させていただきましたように、現在は外国人による投資不動産購入が可能となっております。
それにより経済成長が続くベトナムは不動産投資先としてもとても魅力的な市場となりました。

まとめ:外国人でも不動産投資が可能

今回の記事ではベトナムにおける外国人の購入制限についてお伝えしました。
力強い経済成長が続くベトナムも、今や不動産投資先としてもとても魅力的であり、外国人でも参入可能であることがおわかりいただけましたでしょうか。

ベトナムでは法律が頻繁に改正され、法律に定められた手続きが周知されていないなど実際に不動産投資に係る手続きを行う場合はそのタイミングでの最新情報を取得した上で、そのリスクとリターンを納得した上で投資を行う事が必要です。

コメント

  1. […] […]

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