ハノイ市のメトロ(都市鉄道)計画と現在建設されている路線のレポート(2020年現在)

ハノイメトロカウザイ駅 ベトナム不動産情報
ハノイメトロカウザイ駅

ベトナムの首都ハノイ市は広大な市域を持っています。もともとは市内の中心地が発展をしており郊外には田畑が広がっていたのが、今ではいくつかの衛星都市とも呼べる近代的な市街化区域ができてきました。各地域と高速道路で結ばれ、市内には都市鉄道が計画されており、大きく街が変わっていくことが予想されます。

本記事では、そんなハノイの将来について鉄道計画を中心に考えていきます。

ハノイ市メトロ計画

ハノイのメトロ計画は全10路線が計画されており、その中で2路線が現在建設されています。

ハノイの中心地から郊外に伸びる路線がほとんどであり、その中にはノイバイ国際空港と市内を結ぶ路線(2号線、6号線)も計画されています。

ハノイメトロ路線図

ハノイメトロ路線図

現在ハノイ市の郊外に住宅プロジェクトが数多く行われておりますが、ハノイ市内は渋滞が激しく、通勤に時間がかかっていることで敬遠されている物件も少なくないと思いますが、メトロの開通後はその様相も一気に変わることでしょう。

人の動きが変われば、不動産相場もそれに応じて当然変わっていきますので、2030年、2050年に向けたハノイの鉄道計画を知っておいていただきたいと思います。

ハノイメトロ2A号線(黄土色)

ハノイメトロカトリン線

ハノイメトロカトリン線

(写真出典:https://english.vietnamnet.vn/fms/society/216675/hanoi-metro-project-misses-operational-target.html)

2011年から建設が始まった2A号線(C:カトリン線)は、工事の殆どが完了しており、すでに試運転が開始されています。全長は13.1km、ハノイの中心市街地であるドンダー区のカトリン駅から南西のイェンギア駅まで全12駅が設置されています。

2A号線は中国からのODAで建設され、建設も中国の建設企業が行っており、ベトナムでは最も早く開業する予定の都市鉄道でありましたが、度重なるスケジュールの遅れで現在は開業時期未定となっています。この2号線の運行は東京メトロベトナムにより行われます。

2A号線は中国からのODAで建設され、建設も中国の建設企業が行っており、ベトナムでは最も早く開業する予定の都市鉄道であったが、度重なるスケジュールの遅れで現在は開業時期未定となっている。

始発駅であるカトリン駅は政治の中心地であるバーディンスクエアから1kmほど離れた人口密度の高いエリアにあり、その後もしばらくは住宅街の間を進んでいく。4駅目である「ラン駅」と次の「チュオンディン駅」の間にロイヤルシティというビングループが開発した高層マンション街区があり、その次の「ヴァンタイ3駅」には駅から500mのところにインペリアガーデンという大型高級アパートメントがある他、沢山の大型マンションが立ち並んでいる。

このあたりのエリアは、ハノイの中心部まで渋滞があると通勤に30分以上かかっていたエリアであるが、メトロの開業によりカトリン駅まで10分前後で到達できるようになるため一気に利便性が増したのではないでしょか。

更に進んでいくと、低層住宅と空き地が混在する地域の中を進んでいきますが、「ヴァンクアン駅」など、駅前に大きなアパートメントが開業を見込んで建設されています。「ヴァンタイ3駅」よりも外側は、現在は外国人駐在員はほぼ住むことがない、ハノイでも中心部とは言えないエリアなのですが、メトロの開業により中心部まで2~30分で移動できるようになることにより通勤圏として人気が出てくる可能性は高いと言えるでしょう。現在は土地も安く、リーズナブルな物件がしばらく出てくることも予想されます。

終着駅である「イェンギア駅」にはバスターミナルやハノイBRT1号線との接続もあるため、更に郊外のエリアとの接続も考慮されています。更に、線路は延伸できる形で建設されているため、今後は更に延伸を行うと思われます。そうなると、バンコクのBTSでも最初は郊外駅だと思われた駅が気づけばベッドタウンのようになっているように、今は空き地が広がっている2A号線沿線エリアも20年後には違う景色になっているのかもしれません。

ハノイメトロ3号線(エンジ色)

ハノイメトロカウザイ駅

ハノイメトロカウザイ駅

(写真出典:http://hanoimetro.net.vn/station/cau-giay/)

3号線(V:バンミエウ(文廟)線)はベトナム国鉄ハノイ駅から西に伸びる全長12.5kmの路線です。フランス政府やアジア開発銀行、欧州投資銀行が出資をして、フランスの技術により建設されています。2020年10月には、フランスで試運転を終えた鉄道車両がベトナムに到着しました。ハノイ駅からキムマー駅までは地下で建設され、その先は高架で建設される予定となっており、2023年開業予定となっています。2020年現在、高架部分の高架橋は全てつながっており、駅の建設もかなり進んでいます。

ハノイ駅からキムマー駅まではハノイの中心地を通り、そこからはしばらくカウザイ通りとの上を高架で走っていきます。このあたりのカウザイエリアはここ10年ほどで急速に発展したエリアであり、日系企業のオフィスやアパートメントも数多く並んでいます。今はカウザイ通りの渋滞により移動に困難があるエリアなのですが、メトロの開通が待ち遠しいです。ハノイ国家大学駅を超えたあたりからは郊外エリアとなり、空き地や畑もあるようなエリアです。メトロ3号線が開通した後は、ハノイ中心部まで20分で通勤可能となるため、今後は住宅の開発が急速に進んでいく可能性が高いと考えられます。キムマーやカウザイといった、日本人駐在員が多いエリアからも数駅と、駐在員向けのアパートメント計画も今後増えてくることでしょう。不動産価格が安いうちに狙うべきエリアとも言えるかもしれません。

まとめ

ベトナムの首都であるハノイ市はホーチミン市に比べると人口密度が低いという特徴を持っています。中心部には高層建築物が少なく、都市機能も分散しておりますがそれがメトロの開通によりどのように変わっていくのかは、投資を考える上でとても重要な検討事項になるはずです。

東南アジアの中でも勢いのあるベトナムの、首都ハノイ。鉄道が複数の衛星都市をつなぐその時には今よりもはるかに沢山の居住、オフィス需要が生まれていることは間違いありません。

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