ベトナムにおける銀行口座・海外送金の概要

ベトナム中央銀行 ベトナム不動産情報

ベトナムの不動産投資が気になっている方であれば、ベトナムの銀行口座についても気になっているのではないでしょうか。成長著しい東南アジアの主要国であるベトナムは金融も昔に比べると安定してきており、金利も高水準で推移しています。ベトナムドンという通貨は強い通貨ではありませんがある程度ドルと動きが連動しているため為替変動リスクも少ないと考えられます。

そんなベトナムにおける銀行口座についてご紹介していきます。

ベトナムの銀行口座は年利6%の高金利?

経済成長著しいベトナムでは金利も高水準となっており、大手銀行の定期預金金利が6%前後となっています。中小銀行では更に2%ほど高い金利を提示している銀行もあります。

ベトナムの通貨、ベトナムドンは詳しくは後述しますがUSドルと連動する動きをしていることから、大きな為替リスクがないと捉えることもでき、定期預金の開設が一時期流行しました。

しかし、2019年にベトナムの中央銀行より新たな通達が発令され、短期滞在者の銀行口座開設が基本的にはできなくなってしまいました。基本的には、と言ったのは、不動産購入目的や証券の売買目的であれば口座開設が可能だからです。ですので、不動産投資を考えている方であれば銀行口座の開設は可能です。不動産投資に係る金銭の取引はベトナム国内の金融機関を通じて行わなければならないということもあるので、開設が必須ともいえます。

しかし、定期預金に関して配本的に6ヶ月以上のビザを持っているものでないと新規の預け入れを行うことができず、しかも預入期間もビザの有効期限までという制限がかかります。ベトナムでは3ヶ月、6ヶ月、1年といったビジネスビザがある他、投資家ビザは3年、労働ビザは2年の滞在許可となるため、そのようなビザを持っている場合でないと定期預金は開設できなくなってしまいました。

また、2017年頃から新規での新規預け入れの際にそのお金の出処を証明する資料を求めており、現金のベトナムドンを窓口に持っていっても預け入れができなくなってきています。ベトナム在住者や投資家であれば給料明細や家賃を受け取った控えなどがお金の出どころの書類として有効ですし、入国時に持ち込んだ現金を申告していた場合はそれも有効な書類となります。また、国際送金も国外金融機関が出処となりますので、必要な資料はかなり多いのですが受取自体は可能です。

ベトナムの定期預金投資は数年前であればとても魅力的であったことには違いないと思いますが、現在であれば定期預金口座開設のハードルが上がっていることからベトナムに在住している、もしくは資産を保有している人以外にとっては難しいでしょう。

国外送金の条件が厳しい

ベトナムの金融機関から国外への送金は厳しく制限されており、その用途と出処について申告を行う必要があります。不動産投資にかかる売上であれば、その不動産を持っている証明、家賃収入の証明、それに伴う所得税の納税証明などが揃っていれば国外送金が可能です。また、ベトナムで雇用されている方であれば、給料明細と所得税等必要な費用の支払証明があれば国外送金が可能です。もちろん、どの国外送金でも収入を上回る金額の送金はできません。

ベトナムの法律に則って収入を得て、納税を完了していれば送金が可能と考えていただければ良いでしょう。労働収入であれば労働許可証などにより給与額を政府に申告しますし、賃貸収入であれば家賃を政府に申告しますので、その金額を正しく申告しておくことがとても重要になります。

また、国外送金に制限がかかっている資産についても、VISAデビットカードを発行することで国外使用や国外ATMで出金することも可能です。ただし、これを発行できるのも長期ビザ保有者など一定の制限があります。ベトナム政府の外貨管理の原則に則れば金額規制等が将来掛かる可能性も多分にあると思いますが、2020年現在のところでは制限はかかっておりません。

持ち込み・持ち出し規制

ベトナムは現金の持ち込み、持ち出しの規制額が厳しくなっています。例えば日本の場合は100万円を超える現金の持ち込み、持ち出しは税関での届け出が必要となっていますが、届け出を行えば基本的には自由に持ち出すことが可能です。これは犯罪で得た至近などのマネーロンダリングを取り締まるための情報を収集しているという意図であると考えられ、申告を行っていれば高額現金の持ち込み・持ち出しに制限があるものではありません。

しかし、ベトナムでは5000USドルを超える現金の持ち込み・持ち出しには申告が必要となっており、特に持ち出しの場合はその現金の出処の証明がないと承認されないこととなっています。空港等国境のセキュリティチェックではX線検査の際に現金持ち出しを厳しく確認しており、その場で無申告での持ち出しが発覚した場合、最悪全額没収というケースもありますので申告せずに持ち出すことはおすすめできません。なお、余談ですが本記事筆者はベトナムで印刷した名刺を持ち出した際にセキュリティチェックで中身の確認を行われました。名刺だったので問題はなかったのですが、X線画面では紙幣に見えたのだと思います。

先ほどの国外送金同様、ベトナムで合法的に得た収入であり、納税が完了している資金については原則持ち出しが許可されます。また、ベトナム入国時に申告をおこなって持ち込んだ現金についても、出国時に持ち出しが可能となっています。入国時の税関検査は日本のように全員に対して行われるのではなく抜き打ち検査であり、申告が必要な人のみ自分で申告が必要なゲートに行くことになっておりますので申告を忘れないようにしましょう。このときの控えが、ベトナムの銀行への預金や、出国時の持ち出しに必要となる為無くさないようにしましょう。

ベトナムの通貨:ベトナムドン(VND)

最後に、ベトナムの通貨ベトナムドンについて簡単に紹介いたします。

ベトナムドンは中国の人民元と同様に管理フロート制が採用されており、ベトナム中央銀行が介入することで為替レートを維持しています。ベトナム中央銀行が毎日公示するベトナムドン(VND) – USドル(USD)レートから上下3%での取引が認められています。

過去10年のVND-USDレート

過去10年のVND-USDレート

(出典:https://www.xe.com/ja/currencycharts/?from=USD&to=VND&view=10Y

2011年に大変動が起きて以来、ここ10年ほどはそこまで大きな変動は起きていないと言えますが、長期トレンドとしては少しずつドン安の方向に動いていると言えるでしょう。

米国により為替操作国の調査が現在行われておりますが、現在までのところ為替操作国認定を受けて制裁関税が課されたことはありません。

ベトナムの銀行口座まとめ

投資や居住を考えている方であれば絶対に知っておかなければならないのが金融に係る制度ですが、この記事に書かれている内容を知っておくことで投資戦略を考える上で、また、実際の手続きの足がかりになるのではないでしょうか。

本記事は2020年現在の状況に基づいて執筆されております。ベトナムの金融に関する制度も毎年のように改正が行われており、常に最新情報を収集することも重要です。

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