ベトナム不動産投資で失敗しないために知っておくべきリスクと注意点[前編]

ベトナム不動産投資で失敗しないために知っておくべきリスクと考え方[前編] ベトナム不動産情報

ベトナム不動産投資に失敗してしまった人の話もちらほら聞こえてきました。投資にはもちろんリスクはつきものであり、絶対に成功するものではないのは間違いないです。しかし、そのリスクを把握し、分析して、管理できれば、市場が急成長しているベトナムの不動産投資には大きなメリットがあると考えています。しかし、そのリスクを知らなかったら・・・失敗してしまうのも頷けます。

この記事では、そんなベトナム不動産投資に失敗しないために、知っておくべきリスクについてご紹介します。

ベトナム不動産投資の失敗を避けるために考慮したいリスク(前編)

プレビルド方式という販売手法

ベトナム不動産は日本の不動産とは違い、プレビルド方式で販売されることが一般的です。プレビルド方式というのは、「ビルド」(建設)の「プレ」(前)に販売する方式であり、購入時点では完成していないどころか、着工したばかりというケースが多くあります。

まずは頭金を入金し、その後は建設の進捗に合わせて物件価格の決められた割合で支払いを進め、建設が完了して引き渡しを行う際に残りのすべての金額を支払うこととなります。

建設が始まった時点の価格と、建物が完成したときの価格差が生まれることも多いため、投資の手法として売り出し時に物件を購入し、建設途中や完成後に高い価格で転売を行うという、「プレビルド投資」ということも行われています。この投資手法であれば、進捗50%の時点で売却することができれば物件価格の満額の資金を持っていなくても投資できることからベトナム人投資家の一部にこの手法を好む方々もいるようです。

このプレビルド方式のデメリットはずばり、建設途中でプロジェクトが頓挫してしまったり、デベロッパーが倒産してしまった場合に物件が手に入らないということです。プロジェクトの頓挫により数年遅れて引き渡される、ということがあると想定していた収益を得ることができなくなってしまいます。

それもまだ良い方で、デベロッパーが倒産してしまった場合は支払った金額を返してもらうこともできずに、物件が手に入らないということになってしまいます。日本での不動産投資以上にプロジェクトやデベロッパーの信頼度を確認することが重要となってきます。

修繕・欠陥リスク

ベトナムでは新築物件に欠陥があるということも少なくありません。建築認可を受けた内容と異なる部材を使用したことにより建築基準を満たさない物件となっているものや、そもそも政府に提出した図面とは異なる建築を行っている業者さえ存在しているのが実情です。ただ居住することを考えれば問題のないような欠陥も、投資を考えると大きな価格下落要因となるため注意が必要です。

また、新築の時点では欠陥がなくても5年後、10年後と経年変化により大きな問題がでてくる物件もあります。ホーチミン市のタワーマンションの一部も地盤沈下が原因と見られるひび割れが発生しているものを見たことがあります。物件によっては購入後の修繕に大きな費用がかかってしまう可能性もあると考えられます。

ベトナムではハイグレードの建築物の実績を多数保有しているデベロッパーや建築会社はまだまだ少なく、そういった一部の大手企業によるプロジェクト以外になると品質面での実績が乏しいため潜在的な品質リスクを抱えている可能性も高いと言えます。

空室・家賃滞納リスク

不動産を購入した後の家賃などの収益を確実に得ることが出来るかどうかというところも投資では重要になってきます。投資をしたはいいものの、借り手がつかずに家賃収入を得ることができなかったら困りますよね。

ベトナムの不動産の中でも特にコンドテル(コンドミニアム+ホテル)と呼ばれる、リゾート物件に多いのが利回り保証のついている物件です。コンドテルの場合はホテルとして運営した収益を不動産オーナーに還元していく形となるのですが、完成後10年間は10%の利回りを保証するというような契約となっているものがあります。10年間で10%の収入が保証され、その後も物件を保有できるのであればリスクが低く投資を行えることは間違いありません。

しかし、このコンドテルの利回り保証を反故にしたり、支払えないと言って一方的に金額を下げてきているところが発生しています。日本国内でもシェアハウスの不動産投資で似たような事案があったようにも思えますが、結局物件の稼働率を高めることができなければその保証を維持することができなくなるため、稼働率の高い物件となっているかどうかの見極めは重要になります。

物件管理リスク

不動産の管理はデベロッパー傘下の不動産管理会社が行うことが多いのですが、この管理の対応も管理会社によってまちまちです。電気代・水道代などの光熱費や駐車場、プール、ジムなどの共用部分の管理・運営などが適切に行われていないと、実際に利用する人にとってはとても使いにくくなっているということもあるようです。他にも害虫やカビの発生など、様々なトラブルが発生する可能性もありますがその際に対応を行う必要が出てきます。

これらのコミュニケーションは英語を使うところもありますが、ベトナム語でやり取りされることも多くありますので管理会社との意思疎通が行えないことでトラブルになるということも考えられます。

英語やベトナム語で管理会社と円滑にコミュニケーションを取ることが難しい場合は、物件管理を信頼の置けるパートナーにサポートしてもらうなどの対応も必要となるでしょう。

立地に関するリスク

海外の不動産投資においては土地勘がない状態で購入するケースも多いでしょう。実際にベトナムに住んでいた経験からわかるのですが、各メディアなどで書かれている「この土地が有望」などの謳い文句は当てにならないことがとても多いです。デベロッパーが言っている宣伝文章をそのまま掲載しているだけだったりします。

ホーチミン市やハノイ市の都市計画やエリア紹介は他の記事でご紹介させていただいておりますので参考にしていただければと思いますが、立地に関しては可能であれば現地に訪問し、住んでいる人や歩いている人を観察したり、近隣のお店を見てみたりするなどしてある程度の土地勘を身につけることがベストです。ただ、日本に一度も来たことがない人が梅田、難波、神戸三宮、新宿、渋谷、銀座をすべて歩いたとしてもその地価の違いを感じ取ることが難しいのと同じように、観光客という立場での印象と実際に住んでいる人の印象や土地の価値が異なることはよくあります。購入した物件が実際には不人気の土地の物件だった場合はインカムゲイン、キャピタルゲインともに望めないという結果になってしまうでしょう。また、建設ラッシュが続くエリアでは一時的に供給が過剰となるために賃料が下落したり、空室率が上がるということもあります。

そう考えると、感覚的な話ではなくデータや都市計画を元にした信頼の置ける情報源となる現地パートナーの存在は欠かせないでしょう。

また、都市計画はあくまでも予定であり変更の可能性があります。ベトナムでは政府が強く安定しているため、東南アジアの中では比較的リスクは少ないとは思いますが、都市計画の変更により売り出し時のストーリーが崩れてしまい、結果として価格が上昇しないということも考えられます。

まだまだある!ベトナム不動産のリスク

今回はベトナム不動産投資のリスク(前編)としてご紹介させていただきました。長くなってしまったので、金融や法律などに起因するリスクについては別の記事(後編)でまた詳しくご紹介させていただきます。

投資の方針によってリスクの考え方も変わる

インカムゲインかキャピタルゲインか

投資における利益にはキャピタルゲインとインカムゲインの2つがあります。キャピタルゲインとは、その資産の価格上昇による利益のことであり、簡単に言えば売却価格と購入価格の差額です。インカムゲインというのはその資産から定期的に得られる収入のことであり、不動産の場合は家賃収入が該当します。

そして、今までこの記事で説明してきたリスクの考え方は投資の方針によっても変わってきます。それは、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを重視するかです。

実はベトナム人投資家はキャピタルゲインを重視している人が多く、インカムゲインはあまり気にしていないという人もいるそうです。それは、ベトナムの不動産市場の値上がりがとても大きいためインカムゲインによる利益が小さく見えてしまうからかもしれません。

例えば、ホーチミン市中心部には数多くの高層アパートメント建築が行われているため、家賃が少々下落していたり、空室となっているユニットもありますが、将来のキャピタルゲインを考えればそこまで大きな問題ではないかもしれません。ベトナム人の平均所得の上昇、そして、富裕層の増加に伴いどこかのタイミングで中心部のハイグレード物件の需要が増加すると考えられるためです。そう考えれば、今は家賃収入による利回りが高くなくとも、将来の大きな売却益を期待するということも考えられます。

どこまでのリスクを取るのか

どこまでのリスクを取るのか、という視点も重要になります。一般的にはリスクが大きければ大きいほど、リターンも大きくんなります。

例えば、本記事の前半でプレビルド投資というものをご紹介しました。売出し直後、まだ不動産が立ち上がっていない状態で物件を購入することはリスクは高いのですがその代わりにより安価に購入することが出来るためリターンは大きくなります。逆に、そこまでのリスクを取りたくない場合は、物件の引き渡しのタイミングで、中古物件(新築なのに中古というのも変な話ですが)を購入することでプレビルドによるリスク無しに投資を行うことができます。その代わり、売り出し時に比べるとある程度高い価格で購入することとなります。

立地においても、より遠い未来の都市計画、未来予想図に対して投資を行うことはハイリスクハイリターンとなります。例えばホーチミン市ではメトロ1号線は線路も敷かれ、開業まで数年となっているため、開業が遅れることはあってもそこに電車が通らないというリスクはもはや無いでしょう。しかし、それが5号線、6号線、、となっていくと土地収用すら始まっていないという状態ですので、何らかの要因によって計画が変更され、購入した不動産の目の前にできるはずの駅ができなくなったという可能性もあるでしょう。

リスクを取ればその分だけリターンは大きくなるのですが、自らが望むリターン、許容できるしすく、そのあたりを考えたポートフォリオの構築が重要です。

ベトナム不動産リスク(前編)まとめ

今回の記事で紹介したベトナム不動産のリスクの中には日本の不動産投資と同じようなリスクももちろんたくさんあったと思います。しかし、日本では考えられないようなことが起こってしまうことがあるのも事実です。品質に対する考え方や常識の違いなどが不動産の建築や商習慣などに出てきてしまうからです。

ベトナムの不動産投資を失敗しないために知っておくべきリスクとしては、今回紹介したものの他にも金融や法律などのリスクがありますので、後編の記事で詳しく解説させていただいています。合わせてこちらもご覧いただければと思います。

この記事を読んでいただいた皆様の不動産投資が成功することを願っています。

コメント

  1. […] 前回の記事ではベトナム不動産投資における失敗を回避するために知っておきたいリスクと注意点をお伝えしました。今回は、その続きとして、前編ではお伝えしきれなかった項目について紹介していきます。 […]

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