ベトナム不動産投資で失敗しないために知っておくべきリスクと注意点[後編]

ベトナム不動産投資で失敗しないために知っておくべきリスクと注意点[後編] ベトナム不動産情報

前回の記事ではベトナム不動産投資における失敗を回避するために知っておきたいリスクと注意点をお伝えしました。今回は、その続きとして、前編ではお伝えしきれなかった項目について紹介していきます。

今回はベトナムならではのリスクというところによりフォーカスしておりますので、少しでもベトナム投資を考えているのであれば絶対に知っておいて欲しい内容ばかりです。

ベトナム不動産投資の失敗を避けるために考慮したいリスク(後編)

行政手続きリスク

ベトナムで不動産投資を行うにあたって避けて通れないのがベトナムでの行政手続きです。

ベトナムにおいては2015年の法改正により外国人投資家による不動産所有が可能となりましたが、依然としてベトナム人と比べると大きな制限が課されています。その制限を知らずに取引を行ってしまうと結果的に不動産の名義として登記ができなくなる可能性もありますので、要注意です。

不動産が引き渡され、全額を支払ったあとに登記の申請を行うこととなるのですが、その際に万が一申請を受け付けてもらえないということがあれば不動産の所有者となることができなくなります。そもそも、ベトナムでは外国人が保有して良い物件と、保有できない物件があります。基本的には通常の土地や家屋の保有は認められておらず、都市開発プロジェクトにて開発された一軒家や、認定されたアパートメントの内30%のみが外国人による保有が可能となっています。ですので、まずは外国人が保有することの出来る物件であることは必要です。

不動産投資を考えると中古物件への投資を検討する方も多いかと思います。特にインカムゲインを目的とする場合や、自己居住用物件をお探しの場合、またはプレビルド方式によるリスクを減らしたい場合などがあるでしょう。中古物件の場合は、現在のところベトナム人名義で登記された物件を外国人名義に変更することはできません。外国人名義で登記された物件であれば、別の外国人名義に変更することが可能となっています。ですので、中古物件の購入を検討する場合にはその物件が外国人名義かどうかということが重要になってきます。なお、外国人名義となった物件をベトナム人名義に変更することは可能なようですので、人気物件となると外国人名義の物件数自体が少なくなっているというところもあるかもしれません。その場合は外国人名義の価格にプレミアが乗っかってくることもあるでしょう。

また、外国人による登記は50年間有効となっています。延長申請を行うことも可能なのですが、この期間は名義を変更したとしてもリセットされるわけではないですので、例えば10年前に登記された物件を中古で購入した場合は登記の有効期限が40年となる、ということです。外国人が一般的に不動産を購入可能になったのが2015年ですので、現時点でこの有効期限が問題になったという話は聞いたことがないですが、今後どうなっていくのか未知数な部分も多いです。

このように、登記などの行政手続きに関しては日本とは異なることがとても多く、そして書類やコミュニケーションはすべてベトナム語となります。基本的に役所の方々は英語が通じないことも多く、そして書類や法律文章もベトナム語ですので信頼の置けるパートナーの存在は不可欠です。

売却先・貸出先が見つからないというリスク

不動産を保有した後はキャピタルゲインやインカムゲインを狙いたいですよね。というか、それがなければ投資にはなりません。そのためには、その物件を借りてくれる人や、将来購入してくれる人を見つける必要があります。

あなたがベトナムで立地も設備も素晴らしい物件を購入したとして、どうやって貸し出せば借り手が着くのか想像してみてください。その方から毎月家賃を頂いたり、なにかトラブルが合ったときは解決をしたりする必要もあるかもしれません。また、売却の場合は売却に係る手続きを行う必要があるかもしれません。

不動産投資は購入してからの管理など、売却に至るまで様々なプロセスがあり、購入すれば終わりというものではありません。ベトナムに居を構え、不動産関連の手続きに詳しいベトナム人の従業員や友人がいるなど現地で動ける体制をとっているのであれば問題は少ないかもしれませんが、そうではない場合はそれらを適切に助言し、サポートし、そして客付けも行うような会社に運用管理を一任するという方法が良いのではないかと思います。もちろんある程度の費用はかかると思いますが、成長市場ベトナムの不動産市場を考えるとそれを大きく上回る利益を狙っていくことは十分にできるでしょう。

お金が持ち出せないリスク

実はベトナムは厳しい資金の持ち出し規制が行われています。例えば、通常ベトナムを出国する際に5000米ドル(約53万円)を超える現金を持って出国することは禁止されています。ですので、不動産投資に成功して利益を得たとして、自ら現金でその利益を持ち出すということは現実的ではありません。

ベトナムでは海外送金の際にエビデンスの確認が厳しく行われます。合法的な活動によって得た資金であれば送金が可能ですので、給料所得や不動産投資にかかる利益は海外送金により日本や第三国へ送金することが可能です。

しかし、ここで注意しなければならないのは、税金の滞納等がある場合は認められない可能性があるということ。滞納しているつもりがなくとも手続きに不備があるなどで認められないということもあるようですので、購入時からの適切な手続きを行い、その証憑書類を念の為に残しておくということも重要です。

為替リスク

ベトナムドンは基本的には米ドルにペッグされた通貨ですので、為替リスクは少ないと考えることもできます。しかし、その米ドル/ベトナムドンの過去のレートを見てみましょう。

出典:https://www.ceicdata.com/en/indicator/vietnam/exchange-rate-against-usd

2012年以降は1USD=21,000VNDから23,500VNDへ年々少しずつ変化をしていっていることがわかりますが、2008年から2012年にかけては大きく変化をしていました。

なお、ベトナムが社会主義経済から市場経済へとかじを切ったのが1980年代の終りですので、2000年以前のデータは今の状況とは全く違うためあまり参考にする必要はないかと思います。

それでも、ベトナムドンは通貨安の方向に年々動いているため、為替リスクはまったくないとは言えません。

金利リスク

外国人はベトナムにおいてローンを組むことができないためあまり関係ないのですが、経済成長が続くベトナムでは金利が高く、住宅ローンでも9%前後の金利となっています。この金利が更に上昇することにより、返済ができなくなるというリスクも十分に考えられます。

ベトナム人投資家が金利高に苦しみ、物件を手放すことによって不動産価格に影響が出る可能性はありますが、基本的には外国人投資家である私達にとっては、金利リスクは考えなくて良いのではないかと思います。

まだまだある!ベトナム不動産のリスク

今回はベトナム不動産投資のリスクの中でも法制度や税制などベトナムならではのリスクをご紹介させていただきました。それ以外の物件や商習慣などに起因するリスクに関しては、こちら(前編)の記事に詳しく書きましたので合わせて参考にしていただければと思います。

ベトナム不動産リスク(後編)まとめ

ベトナムの不動産投資に係る制度などはかなり整備されてきましたが、それでも実際の文章や申請はベトナム語ですし、まだまだ行政手続きが不透明な部分も一部残っています。そのため、安心して投資を行うことを考えると現地でのパートナーを持つことが重要なのではないかと思います。

ベトナムの不動産投資を失敗しないために知っておくべきリスクとしては、今回紹介したものの他にも物件に関するリスク等がありますので、前編の記事で詳しく解説させていただいています。合わせてこちらもご覧いただければと思います。

この記事を読んでいただいた皆様の不動産投資が成功することを願っています。

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